「偏差値がまだ志望校に届いていない。果たして偏差値をあと10上げられるのか?」
「偏差値を10上げるには,何時間,どんな問題集を使って,どんな方法で勉強すればいいのだろうか?」
そんな疑問と不安を抱えながら,真剣に偏差値アップを目指す受験生に向けて言います。
結論:偏差値を10上げることはできる!!!
ただし,いくつかの条件があります。
また,偏差値を上げるための鉄則と勉強法,問題集についても後述します。
偏差値を10上げるための条件
偏差値を10上げることは,不可能ではありません。ただし,いくつかの条件があります。
偏差値を10上げるとはどういうことか
まず,偏差値を10上げる,とはどういうことかを数字で見てみたいと思います。
例えば,偏差値50の人は,上位50%ということです。つまり,1学年100人の学校であれば,偏差値50の人の学年順位は50位です。
この人が偏差値を10上げようとすると,偏差値60を目指すということになります。
偏差値60というと,上位16%です。つまり,1学年100人の学校であれば,偏差値60の人の学年順位は16位です。
偏差値50の人が偏差値を10上げようとする場合,1学年100人の学校で34人を追い抜かなければならない計算になります。
勉強だとイメージがつきにくいかもしれないのですが,マラソン大会について考えてみてください。100人でマラソン大会をして,50位だった人が16位になるには,どれほど努力をしなければならないでしょうか??
そう考えると,偏差値10上げるということが,かなり難しい目標であることのイメージがつくのではないかと思います。
ただ,偏差値10上げることは,不可能ではありません。その条件について説明したいと思います。
偏差値を10上げるための条件①:残された時間
偏差値を10上げようと目標にしている時期までに残されている時間は大変重要です。
もし中1の最初の実力テストで,高校受験までに偏差値をあと10上げられるだろうか,と考えているならば,上げられる確率はかなり高いと言えます。
反対に,中3の秋に,入試までに10上げられるだろうか,と考えているならば,かなり難しい,ということになります。
先ほどの例に挙げた,100人で争う36キロのマラソン大会の残り6キロ地点で34人追い抜くということなのです。
勉強に近道はありません。学力アップにおいて,時間は最大の見方です。ですから,入試までに残された期間が長ければ長いほど可能性は高まります。
忘れてはならないのは,偏差値というのは,あくまも相対評価だということです。
つまり,他人との比較に基づいた自分の立ち位置を示す数値です。
「中3の夏休み前に部活を引退したら勉強に本腰を入れよう」と思っている人がいるかもしれません。でも,みんなもそう思っています。
そのため,夏休みの間,これまで勉強したことのないくらい一生懸命勉強して,けっこう問題も解けるようになって模擬試験を受けてみたのに,意外に偏差値が変わらない,ということがよくあります。
時間をかけて勉強すれば学力は確実に向上しますが,偏差値はあくまでも他者との比較なので,自分ががんばっても周りも同じだけがんばれば,偏差値は同じ,ということになるのです。
我が家の子供たちの模擬試験の結果を引き合いに出したいと思います。
どの子も夏休みの期間中,10時間前後の勉強をしていました。
塾には行っていなかったため,自分のやりたい,もっとも効率が良いと思われる勉強法を取っていたことも言い添えます。
【タイの場合】
中3の6月の模試:偏差値66
中3の8月の模試:偏差値68
【ナオの場合】
中3の7月の模試:偏差値66
中3の8月の模試:偏差値63
【モンの場合】
中3の7月の模試:偏差値63
中3の9月の模試:偏差値62
ご覧いただいてわかるように,毎日10時間まじめに勉強しても,この結果です。上がった子もいますが,偏差値にして2の違い。おまけに,あと二人はこともあろうに下がってさえいます💦
中3になってから偏差値を10上げるとはどういうことか,これでお分かりいただけると思います。
偏差値を10上げるための条件②:現在の偏差値
現時点での偏差値が低ければ低いほど,偏差値を10上げられる確率は高くなります。
例えば,偏差値40を50に上げたいという場合,上位84%から上位50%に上げなければなりません。さきほどの例にあった,偏差値50を60に上げたい場合と同じく,100人マラソンで言えば34人をごぼう抜きしなければなりません。
ただし,マラソンの中盤を走っている層と,マラソンの最後尾を走っている層では,属性がかなり異なります。
マラソンの中盤を走っている層は,それなりに基礎体力もあり,そこまでそれなりに努力して走ってきて,がんばろうというモチベーションもあるのではないかと思われます。
一方,最後尾を走っている層は,そもそも基礎体力がなく,もっと前を目指そうとうやる気も薄いのではないかと思われます。もしかすると,タイムなんてどうでもいいから完走さえすればいい,ビリでなければいい,と思っているかもしれません。
同じように,勉強においても,100人中の50位の層と84位の層では,基礎学力もやる気も違うでしょう。偏差値が低ければ低いほど,正しい方法でしっかりトレーニング(勉強)をして基礎学力をつければ,偏差値が上がる確率は高まります。
しつこいようですが,偏差値は人との比較です。自分が戦おうとしている相手がどういう人かによって偏差値の上がり方は変わります。
いうまでもなく,偏差値60を70にするのは至難の業です。なぜなら,戦う相手はすでに基礎体力があり,おそらくモチベーションも非常に高いため,自分ががんばっても相手も同じだけ頑張るし能力もあるためです。
偏差値を10上げるための条件③:これまでの努力の度合い
これまでにまじめに勉強してきたか,ということも,偏差値を上げられる可能性を考えるうえで重要な要素です。
まじめべに勉強してきた,という人ほど,今後の伸びに期待することは難しいでしょう。逆に,これまでまったく勉強をしてこなかった,という人ほど偏差値が爆上がりする可能性は高まります。
自分が努力してきたかどうかを知る一番のてがかりは,定期テストの3教科の順位(偏差値)と5教科の順位(偏差値)を比較することです。
定期テストというのは努力で大きく結果が異なるテストです。特に,理科と社会は暗記によるところが大きく,努力の度合いが如実に反映されます。
反対に,国数英は積み重ねの教科であるため,定期テスト対策の努力の結果だけでなくその人の学力が表れがちです。
ですから,いつも3教科の順位よりも5教科の順位の方がよい,という場合は,努力型である可能性が高いです。そのこと自体はとてもよいのですが,偏差値を10上げるということにおいては,不利です。すでに一定の努力をしているため,これ以上はなかなか上げにくいのです。(ただし,努力の体質があるため,勉強方法を適切なものにしてさらに努力をすれば,できないことはないかもしれません。それは,ほかの条件にもよります。)
例えば,さきほどの我が家の子供たちの模試の結果で見ると,ナオは偏差値が下がっています。ナオはかなりの努力型で,中1のときからコツコツと勉強する子でした。
中1のときこそ成績は良かったですが,その後,まわりの子たちが本気になるにつれ,どんどん抜かされていき,中3ではかなり順位が落ちました。
中1のときの学年順位はおおむね10位代でしたが,中3では30位前後でした。
先ほどの夏休み前後の模試結果でも,偏差値を下げていました。夏休みの間中10時間ずつ勉強した結果です。
ですから,今まで全然勉強してこなかった!という人ほど偏差値は上がりやすいと言えるでしょう。ただし,長時間勉強するにはそれなりの体力が必要です。これまで勉強の体力をつけてこなかった人が長時間勉強するにはかなりの負荷がかかりますから,それを耐えられるだけの精神力が必要,ということも言い添えておきます。
偏差値を10上げるための条件④:何の偏差値か
偏差値を10上げたいのは,何の偏差値か,ということも重要です。
例えば,1教科の偏差値なのか,3教科(国数英)か,それとも5教科の偏差値を上げたいのか。
このうち,最も上げやすいのは,もちろん1教科です。5教科上げようと思えば,5教科とも偏差値を上げる努力をしなければなりません。
3教科と5教科のどちらの方が偏差値を上げやすいか,というと,意外にも5教科の方かもしれません。特に,理社の対策をしてこなかったという場合,理社は暗記物で点数を上げやすいため,5教科の総合偏差値が上がる可能性があります。ただし,1教科の偏差値が大きく上がっても,5教科の合計にはそれほど大きな影響を与えないため,やはり相当な努力が必要です。
偏差値を10上げるための条件⑤:努力できる勉強の持久力と筋力はあるか
先ほども書いたように,マラソンに持久力と筋力が必要なように,受験という長期戦のために長時間勉強するには,勉強の持久力と筋力が必要です。
これまで努力してこなかった人ほどのびしろがあるのは事実ですが,それはこれまでやってこなかった筋肉を動かし続けることができれば,という別の条件がつきます。
マラソンと同様,突然10キロも走ったら筋肉痛で翌日動けなくなる,ということもあるでしょうから,徐々に勉強時間を長くして,勉強の筋力を鍛えていく必要があります。
偏差値を10上げるための方法
偏差値を10上げようという場合の,勉強時間と問題集と勉強方法について書いてみたいと思います。
偏差値を10上げるために最低限必要な勉強時間
中1,中2の場合,一日あたりの勉強時間は,学年+1時間を目安にするとよいでしょう。中1ならば2時間,中2ならば3時間。
中3は,学校に行ってる時間と寝てる時間を除くすべての時間です。
中3で偏差値10上げるというのは,至難の業です。
文字通りすべての時間を使わなければ間に合わないでしょう。まとまって取れる時間を使うことはもちろん,隙間時間も無駄にはできません。
お風呂に入っている時間にも単語を暗記する,トイレに社会の暗記プリントを貼って覚える,通学の間も暗記したことを頭の中で反すうする。ともかく,すべての時間を使います。
偏差値を10上げる問題集
これをやればだれでも偏差値が必ず10上がる問題集があるのでしょうか?
ありません。
ありません。
偏差値を上げるのにどの問題集が最も適しているかは,人それぞれです。
・・・なんて言ってしまっては身も蓋もないので,「人それぞれ」の内容について説明してみます。
偏差値55未満の人向けの問題集
偏差値55未満という人は,おそらく基礎が成っていません。
まずは,学校のワークを最初から丁寧に解いていきましょう。
偏差値55-65未満の人向けの問題集
偏差値55-65の人は,基礎力はそれなりにあるものの,どこかの分野やどれかの教科が不得意だったりしているはずです。
まずは学校のワークを最初から解いていき,間違えたところを何度も解き直し,それが終わったら,市販の問題集を一冊足すとよいでしょう。
演習力,暗記量が増えることにより,対応できる問題の幅が広がります。
ワークを何度も解いたけれどもまだ穴が埋まらない,ワークは問題を覚えてしまったから別の問題集に挑戦したい,という人へのおすすめ問題集はこちら⤵
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偏差値65以上の人向けの問題集
偏差値65以上の人は,基礎はほぼ固まっていると思いますので,演習量を増やし,暗記物の教科は記憶を保てるよう一日に少しずつ復習するとよいでしょう。
特に,中3で偏差値に伸び悩んでいるこの層の人は,ぜひ『全国高校入試問題正解』を活用することをおすすめします。ただし,基礎が固まっていない人には効果がありませんから,あくまで偏差値65以上の教科についてのみ使うことをおすすめします。
おそらく,どの塾でもこれを解くようにと指導すると思いますが,この効果は絶大です。我が家にも,ひたすら解くうちに,最初は半部しか取れなかった過去問で2,3ミスくらいに落ち着くようになった子もいます。
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偏差値を10上げる勉強法
偏差値が必ず10上がる問題集はない,と断言しました。
が,偏差値を上げられる勉強法というものは存在します。
それはーー
・計画を立てる
・勉強時間をかける
・解き直しをする
簡単に言えばこの三つです。
まず,どの分野や教科に時間を書けるのか,戦略を練ったうえで綿密な計画を立てます。
≫計画について,詳しくはこちらから。
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次に,計画に沿って勉強します。すでに書いた通り,勉強に抜け道や近道はありません。泥臭く時間をかけること以外に学力を上げることはできません。さらに偏差値を上げるとなれば,周りの相手よりも勉強時間をかけるしかないのです。
最後に,解き直しです。解き直しの大切さはどれだけ強調しても足りません。
自分の誤りに向き合って解き直しをとことんできるかどうかに受験の合否がかかっていると言っても過言ではありません。
まずは,偏差値を3上げる
何度も書いているとおり,偏差値を10上げることは至難の業ではありません。
これまでに書いた条件をすべて満たしていたとしても,できない場合もあるでしょう。
そこで,まずは偏差値を3上げることを提案したいと思います。
そのために重要なことがいくつかあります。
まず,基礎固めが重要です。
偏差値を上げようと思って,焦って難しい問題ばかり解かないということです。
固まっていない土台に家を建てても崩れるだけです。
次に,もし5教科の偏差値を総合的に上げたいという場合は,バランスを考えます。
最も偏差値が低い教科を上げる方が簡単です。教科によって偏差値にばらつきがある場合,どの教科を優先して時間を費やすかを決めます。
また,点数の伸びやすい教科とそうでない教科があります。積み重ねの教科ほど,点数を上げるのは困難です。反対に,単元ごとの連続性のない教科は,点数を伸ばしいやすいという特徴があります。
結果が出るまでの時間が短いのは,社会⇒理科⇒英語・数学⇒国語の順です。
中3や入試が迫っている,という場合には時間との勝負ですから,何から優先的に手をつけるべきか,よく検討が必要です。