もうすぐ春です。中学3年生になったらがんばって勉強しよう!!と思っている受験生もたくさんいるでしょう。自分のがんばりの成果を測るのに用いられるのが,偏差値です。どうすれば偏差値を上げることができるのでしょう?
偏差値が上がりやすい人
「偏差値29でも北海道大学医学部合格しました」という某予備校のCMが炎上しているそうです。その生徒が実は偏差値74の名門高校の出身だということが明らかになったためです。
そう,偏差値が上がりやすい人とは,ずばり,能力はあるのに相応の努力をしてこなかった人です。男の子に多いように思います。中1,中2ではまだ精神的に幼いですし反抗期もからんだりして,あるいは部活に没頭してこつこつと勉強しなかった男の子が,部活を終えて勉強に専念できるようになった途端,部活などにかけていたエネルギーを勉強に注ぎ,偏差値が大幅に上がるほどの成果を上げる,というパターンです。
反対に,中1,中2とコツコツ勉強してきた人は,大幅に偏差値を上げるのは容易ではありません。コツコツ型は女の子に多いでしょう。すでに最大限に近い努力をしているため,努力(勉強量)で偏差値を上げることはできません。勉強の質を高める,つまり自分の勉強方法や弱点をよく分析して効率のよい勉強をすることでしか偏差値は上がりません。しかし,勉強が習慣になっているこのタイプの人は勉強がそれほど苦ではないでしょうし,安定した基礎力があるでしょうから,持ち前の努力で少しずつ点数を積むことができます。
トップ層
これは本人の実力というよりは,偏差値のマジックの話。中1,中2の学校の実力テストや定期テストで偏差値が出る学校もあると思いますが,範囲が限定的で簡単なテストのため,偏差値の性質上,高得点を出してもあまり高い偏差値が出ることはありません。ところが,中3になり実力テストの範囲が広がったり,業者の模擬試験などで入試に似せた難易度の試験を受けるようになると,受験者の点数のばらつきが大きくなり,その結果,上位層の偏差値は大きくなります。(ただし,同じ性質により,下位層は逆にもっと低くなります。)
ですから,中2の時点で学校で受験する実力テストや定期テストの偏差値が受験校の偏差値に足りなくても,諦めるのはまだまだ早い。テストの内容にもよりますが,テストが変われば,5程度の偏差値は簡単に上下しますから,現在の偏差値で高校を選ぶ必要はないのです。
偏差値はそうそう上がらない
上の二つの場合を除き,偏差値というものはそうそう変わりません。しかも,努力を怠っていた場合でも,相当勉強するようにならなければ偏差値は上がりません。なぜなら,受験生になると自分も勉強するようになりますが,周りも勉強するからです。偏差値は絶対評価ではなく相対評価で他者との比較による数値ですから,まわりと同じ努力をしていても偏差値はそうそう上がるものではありません。
フライングする
マラソンを見ていていつも思うことですが,2時間走り続けたマラソンランナーたちのタイムの差がほんの数分しかない,というのはすごいことです。一秒たりとも手を抜いていないんですね。ということは,もし10分早くスタートを切っていい,と言われたら,ものすごいアドバンテージになるでしょう。
その10分が中3の春休みです。もっといえば,中2の学年末テストが終わった翌日から中3の学年が始まるまでの1か月です。1か月といえば夏休みほどの時間があるのです。「中3になったら遊べないから遊んでおこう」ではなく,ぜひ頭を切り替えてフライングで飛び出しましょう。10分早くスタートしてよいのにスタートラインで遊んでいるマラソンランナーなどいないでしょう。
中3春休みの過ごし方
では,何をすればよいのでしょう。中3になれば,先取りをしなければならなくなります。これはものすごく時間と力を消耗します。その前に,中2までの範囲を完璧にしておきましょう。弱点や苦手な分野を洗い出して片っ端からつぶします。毎日勉強する習慣を身につけます。余裕のある人は先取り学習を始めてもよいでしょう。まずは,いすに座って計画を立てましょう。中3の始めの実力テストをや模擬試験を目標に,一つの教科だけ,あるいはこの分野だけ,などと焦点を絞って勉強してみましょう。