モンが小学校の卒業を迎えます。
長男のタイが小学生のころ,高偏差値の高校に入学するために小学生のうちに何をしたらいいのだろう,と考えていました。試行錯誤しつつ,いろんなドリルをやらせてみたり,おけいこごとをやらせてみたりしました。そんなタイが高校に入学し,ナオが来年から受験生になり,3人目のモンも小学校を卒業する今,振り返って思うことをつづってみたいと思います。
小学校に入る前までにやっておきたいこと
最近は小学校に入る前におけいこごとをしている人も多いと思います。もちろん,お金があればそれもよい機会かもしれませんが,お金がないのに,無理をして習い事をさせる必要はないように思います。例えば,手取りの月収が20万ほどで月の食費の予算が3万円という家庭で月謝が1万円の習い事をさせるのはつり合いが取れていないように思います。
お金を一銭もかけずに,将来を左右する学力を底上げする方法があります。それは,読み聞かせです。この記事でも何度も取り上げていますが,読み聞かせを通して得られる力は,子供の一生の宝になります。その宝とは,自分で書物から物事を学び,理解する力,またそれを応用する力,思考することをいとわない力,つまり自立する力です。
具体的に言うと,この力があれば,塾はいりません。少なくとも,公立高校受験には必要ありません。自分で問題集を解き,解説を読んでそれを理解できれば,塾はいらないのです。最近はどのように受験勉強を進めればよいか,ネットを少し探せばその方法はいくらでも教えてもらえます。大量のそのような情報を短い時間で読んでそれを自分で租借して自分に応用できる力があれば,やはり塾はいりません。
また,タイを見ていてわかったことは,読み聞かせによってはぐくまれた国語力は年齢を追うごとに威力を発揮します。英語の長文読解力もこの国語力が基礎になりますし,国立・私立,理系・文系を問わず大学入試では国語力を試されます。なぜなら,文献を読む力,思考力,人に説明する力は,どのような学問を追及する場合でも欠かせないためです。また,それは学問だけでなく,社会に出て働くときにも欠かせない力になります。
子供たちを見ていて思うことは,子供が本を愛する度合いは,母の読み聞かせの量に比例しています。たいがいのお母さんはそのことを肌で感じています。一番上の子供は時間があるため読み聞かせの時間が長いものですが,下にいくにつれて母親が忙しくなり,おのずと読み聞かせの時間が短くなってしまいます。そして,どうしても子供の読書愛はその影響を受けてしまいます。たくさん読む必要はありません。まずは一冊子供と一緒に読んでみましょう。読んであげられる期間はさほど長くありません。子供が楽しんでいるうちはできるだけ読んであげましょう。いったん子供の読書愛が育ってしまえば,あとは子供が一人でどんどん読むはずです。
小学生のうちにしておくとよいこと
一人目の子供の子育てというのは加減が分からないので,どうしても力が入ってしまうものです。タイのときには,いろんな問題集をやらせたりしたものです。でも,その中でナオやモンにもやらせたものはほとんどありません。
遊び
小学校の間にやっておきたいこと,それは「遊び」と「勉強の習慣づけ」です。遊びといっても,ゲームを黙々とやるのではなく,思い切り外で遊んで人とのかかわり合いや知恵を学ぶのです。互いの家にいながらにしてオンラインでゲームを楽しめてしまう昨今,友達とじかに会って,遊びの中で,ネゴシエーションの方法や人の心を動かす言葉の使い方,創作する力,想像力,リーダーシップなどを学ぶことは,将来大きな力になるに違いありません。
勉強の習慣
次に,勉強の習慣づけです。これも特別なことをする必要はありません。学校の宿題があるでしょうから,それだけでもかまいません。時間を決めるよりは,やることを決めた方がモチベーションがあがるでしょう。
簡単なことのように思えますが,小学校の間に,学校から帰ってきてから家で勉強することが当たり前になることは,非常に大切です。
勉強をすることは運動をすることと似ていて,運動をしていなかった人が突然10キロ走ることができないように,まったく勉強する習慣のない人が突然受験生になって1日に10時間勉強したりはできません。
小学生のうちから,遊ぶよりも先に宿題をする習慣をつけ,勉強をする「筋肉」をつけておくことが,後々非常に大きな効果を生みます。
読み書きそろばん
読み書きそろばん,つまり,読書,漢字,計算。
これはすべての基礎です。
読み書きそろばんの訓練をするために,新たにドリルを買おうとしたり,今よりも何か足そうとする必要はありません。日本の小学校はよく考えられていて,親が意識しなくとも,ほとんど毎日「音読,漢字ドリル,計算ドリル」の宿題がセットになって出るのではないでしょうか。
これは長い年月をかけてコツコツ積み上げるものですので,毎日しっかりと宿題をこなすのみです。1年生のときには親が見てあげていても,徐々に手をぬきがちだと思います。時折確認してみるといいかもしれません。
テストの復習
小学生時代に特に通信教育をしたり,学校の宿題以上に何かをする必要性はありません。ただ,テストの復習だけは大事にするといいかもしれません。
「答え合わせと解き直しの習慣」とその大切さを理解できれば花丸です。この大切さを知っている子供は,中学に行ってもまず心配ありません。逆に,この大切さを理解するにはとても時間がかかります。学校の先生によっては低学年のうちからこれを徹底的に習慣化しようとしてくださることもありますが,なかなか学校だけでは難しいでしょうから,家でも教えるとよいでしょう。方法は簡単です。学校から持ち帰ったテストで間違いがあれば,一緒に解きなおします。どうして間違えたか尋ねるとよいでしょう。分析力を高め,改善する能力を高めることが狙いです。
英語
といっても,英会話教室などに行かなくても大丈夫です。今や,無料の英語教育方法はたくさんあります。また,小学生のときに少しばかり先取りをしたって,知識の先取りをしているだけであって学力が上がるわけではありませんから,高校受験のころにはチャラになっているでしょう。
ですが,小学校のときに英語を先取りしておくメリットはあります。それは,中学に入って「心が折れない」ためです。中学に入ると,それまではやたらと平等を重んじていた小学校教育から一転,毎回のテストでビリまで順位が出る公立中学もありますから,自分の立ち位置を嫌でも知らされることになります。
また,学習指導要領の大幅な改定により,昔とは異なり,小学校の英語が教科化されたため,中学1年生の英語の入り口で,昔とは比べ物にならない英語力が求められるようになり,ここで英語嫌いになってしまうお子さんが増えてしまいました。
ときはちょうど多感な思春期。「自分なんて何もできないんだ」と思ってしまってなげやりになっては,後々のモチベーションに影響を及ぼします。
英語は暗記教科ですから,頭脳に自信がない子供ほど小学校から英語に親しんでおくことは自信となるでしょう。