突然の休校制限からもうすぐ4か月。実に1年の三分の一を家庭学習と分散登校などで少してきた子供たち。「教育格差」が叫ばれる今日,各学年ごとに注意点を考えてみたいと思います。
小学生の家庭学習
3月の最初の休校時には心配ないだろうとたかをくくっていた休校。ところが,休校は再延長され,5月になると打って変わって山積みの宿題を出され,おまけに予習まで家庭に任されました。これはひどい・・・。正直なところ、政府の無策のツケを家庭に押し付ける暴挙だと思いました。
4月上旬の文科省の通達により,定着したことが確認された範囲については改めて先生が教え直さなくてもよい,とされました。が,連続性のある教科や分野(小学生なら算数)や,習熟度が低いことが(テスト等により)確認された範囲については,先生が教え直すはずですので,その点の学力低下の心配しなくてもよいのではないかと思います。
やや注意が必要だとすれば、4年生以上の算数かもしれません。返却されるテストで子供の状態を確認するとよさそうです。
それよりも心配なのは、この期間中に学習意欲が低下した子供が相当いたのではないかということです。今後数か月は,子供の様子を観察する必要がありそうです。間違えても,ドリルや新たなものを足さない方が無難なように思います。
≫アフターコロナの教育格差(小学生篇)
≫小学生のテストを10倍活用する方法
中学1年生の家庭学習
これまで教科でなかった英語の予習を家庭に任されたため,苦労されたご家庭があったと思います。特に,英語のつづりを書けないことを心配されたかもしれません。
でも,中1中間テストで出題される英語の問題に,英単語のつづりを丸まる書かせるようなものは出てきません。最初のテストの大半を占めるのは,アルファベットとローマ字の書き取りとリスニングです。ほぼ小学校の英語クラスで対応できる内容のはずなので,ことさら心配はありません。英語のつづりは,少しずつ時間をかけて。
中学3年生
コロナの犠牲度第二位の学年だと思います。ただし,公立高校を受験予定の場合には,救済策が出そうです。
先日,都立高校入試で出題しない範囲が定められたとの発表がました。おそらく,これに追随する都道府県も出てくるのではないかと推測します。文科省からすでに,入試の出題の範囲に「配慮する」よう各都道府県の教育委員会に通達が出されています。
都立高校を例に取ると,数学では三平方の定理を除外,英語では関係代名詞を除外する,とあります。
公立高校入試英語の中心は関係代名詞ですから、これを一切使わない長文となると,ごく簡単なものしかできないでしょう。そのため、英語は高得点の戦いとなり、英語で差をつけることは難しいと予想します。理数系の生徒にやや有利な入試となるかもしれません。
同じく文科省の通達の中で、出題範囲の中心は1,2年生の内容とし、中三の範囲を出題する場合には選択問題とする、などの細かい具体案などが提示されていたことを考えると、夏休み前までに既習範囲の復習と演習を徹底させるとよさそうです。
また,もう一つ注意点があります。入試から除外した範囲は,中学在学中に教え切ることを予定しています。三平方の定理や関係代名詞は高校数学・英語の土台となる重要な単元ですので,入試が終わり次第,よく勉強しておく必要があります。
高校入試は通過点です。三平方の定理と関係代名詞は高校入試には必要なくとも,必ず大学入試で問われることになりますから,必ず今年の受験生は受験が終わったからといって例年の3年生のように遊び狂っているわけにはいきません。
高校3年生の学習
共通テストへの移行、英語民間試験利用の廃止などだけでも大変な学年なのに、さらにコロナまで襲ってきて、気の毒としかいいようがありません。
自学の能力のある生徒は、ある意味時間を取られる学校という足かせがなかったため、ガンガン自分の学習を進められたでしょうから、この3ヶ月で学習の格差はかなり広がったことは想像に難くありません。
大学入試についても、範囲と日程に配慮を求める通達が出されていますが、私立大学がどこまで考慮するかは未知数ですし、例年通りの受験勉強をせざるを得なくなるように思います。
これをチャンスと捉えられたかどうかは、個人の成熟の度合いと塾や学校のサポートの度合いによって大きく開きがありそうです。
中学2年生,高校1,2年生
今年受験生でなかったことをラッキーだと思いましょう。最も心配の少ない学年です。