アフターコロナの教育格差(小学生編)

休校中の勉強

全国の緊急事態宣言が解除され,少しずつ学校が始まっています。3か月前にどんな生活をしていたか思い出すのが難しいくらい,3か月のブランクって大きいですね。

休校中によく耳にした「学力格差」という言葉。実際に起こるのでしょうか?小学生について考えてみました。

文部科学省の方針

小学生の「学力格差」というと,「私立vs公立」「塾ありvs塾なし」の差がまず思いつきます。

確かに,公立小学校は3月4月とほぼ放置されたのに対し,私立小学校では4月からオンライン授業やその他のケアがされていたというアンケート結果もありますから,教育格差はあったでしょう。

ただ,私立小学校のお子さんは中学受験,高校受験,もしかすると大学受験をしない生徒も多いでしょうから,たとえ公立小学生との間に格差が出たとしても,戦う場がないのであまり問題にはならないでしょう。

次に,「塾ありvs塾なし」の教育格差です。これも,一概には言えませんが,塾ありの小学生はおそらく中学受験を目指していて,塾なしの小学生は公立中学進学を考えている割合が多いでしょうから,これも土俵が違うためあまり問題にならないでしょう。

問題となるのは,大多数をしめる「塾なし公立小学生」間の学力格差です。

4月,文部科学省から,家庭学習の内容は,一定の条件のもとで学校で改めて教えなおさなくてもよい,という通達がされました。

つまり,家庭学習に指定された内容の習得は,生徒と家庭が責任を取る,ということです。もしこれが実行されれば,子供にしっかりと教えてもらえた子供とそうでない子供とでは差が出そうです。

学校はほんとうに家庭学習の内容を教えなおさないのか

さて,そんな格差がほんとうに起こりえるのでしょうか。

まず,学校が教え直さないことを選択する条件として,その内容を子供たちが理解していることが何らかの方法で示された場合,とされています。つまり,テストや提出物などで理解度を評価し,おおむね問題なければ,理解したものとして教え直さないわけです。

学校がこんな乱暴なことをほんとうにするのかどうか,実際に教員をされている方たちに聞いてみました。

すると,まず教科や内容によって実現する可能性が変わる,ということが分かりました。学習内容に連続性のない教科や内容ならば,家庭学習のみで済ませる可能性がありますが,積み上げの教科ではそういうわけにはいかないだろうというのです。

例えば,漢字の練習などは改めて学校でやり直さないだろうけれども,数学や英語は,一部の理解度が低ければ後で習う内容を理解できない可能性があるので,学校で教えないことは考えられない,というのです。

これを聞いて安心しました。子供を教える家庭の能力が子供に大きな格差や不利益を及ぼすことは,どうやらなさそうです。

ただ,大切なことはすべて教え直すのだとすると,授業時間が不足しないのかと心配になります。

これについて,先生方は「演習の時間を減らす可能性がある」とおっしゃっていました。

なるほど!!確かに,特に小学校では学習進度は非常に遅く,演習の時間もたっぷり取られている気がするので,エッセンスを教えて,演習の時間は削減,というのは効率的に感じます。

アフターコロナに家庭でできること

これらを踏まえて,アルターコロナに家庭でできる学習のフォローについて考えてみると,学校での演習量が減る可能性があるため,宿題をしっかりとさせる。解いて終わりではなく,理解していることを確認する。

テストが返却されたら,理解度に問題ないことを確認する。

ということではないかと思います。

それさえ押さえていれば,過度の心配をしたり課題を与えたりせず,「非認知力」のアップを図りましょう。非認知力については,こちらにも書いています。

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