小学生の宿題は百害あって一利なし!??

休校中の勉強

コロナの影響で,休校中に学校から課される宿題に対する叫びがあちらこちらから聞こえてきます。

「子供が宿題をしない。」

「予習まで家庭に任されるなんて,無理!!」

「先生は無責任!」

コロナの被害者は各方面にいらっしゃいますが,今日は小学生とその保護者を取り上げてみたいと思います。

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コロナ休校中の学校教育

日本国憲法に定められている教育を受ける機会は,このコロナ禍でどのように達成されているのでしょうか。

ある調査からは,私立の小学校では,その大半が,双方向のオンライン授業や動画配信などを通して教育サービスを提供しつづけようとしたものの,公立小学校では,プリントを配布しただけ,という学校が大半です。

特に,休校が長期化する様相が見られ,焦り始めた5月になって,大量の宿題を課す学校が多くありました。

また,5月になると,復習を中心とした宿題に加え,予習まで家庭学習として課されるようになりました。しかも,宿題を出しっぱなしで,理解力の把握や,理解できていない子供のフォロー体制も整っていません。

家で勉強することに慣れていない子供たちは,当然この大量の宿題を嫌々やり,保護者は宿題をやりたがらない子供たちに宿題を強いなければならず,悲鳴が方々が聞こえている,という状況です。

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文部科学省の通達

5月末の安倍首相の休校宣言以降,休校期間中の教育について,文部科学省はどのような方針を打ち出してきたのでしょうか。

最もびっくりしたのは,4月10日に明らかになった,全国の教育委員会への通知です。その内容とは,、特例として、一定の要件のもとで行われた家庭学習の内容を改めて学校で対面で教える必要はない,というものでした。

つまり,家庭学習として予習させた範囲を,学校再開後に学校が教えなくてもいいことにする!と宣言してしまったのです。

もちろん,これには要件があって,簡単に言えば,家庭学習で学んだ内容について,学校が生徒の理解度を調査した結果,相応の理解度があることが示された場合には,学校ではその内容について教えない,というのです。ただし,その理解度の調査方法などは示されていません。

乱暴極まりない宣言をしたものです。子供の教育を受ける権利を実現する責任を,学校から家庭に転嫁したのです。「コロナで授業日数足りなそうだから,家庭で教えておいてね!小学生の簡単な範囲だからできるでしょ!」といったニュアンスに聞こえます。

もちろん,再開後の調査(テスト??)で生徒の理解度が低いことが示されれば当然その部分について教えなおすことになる(いえ,一度も学校は教えてないのですから,「教えなおす」という表現は適切ではないですね)わけですが,例えば,大部分の子供は理解しているからよしとして教えないことも考えられるわけですから,まじめな親は教えるしかないと思うでしょう。

この通知はおそらく批判が殺到したことと思います。それを受けてかどうか分かりませんが,その一か月後,萩生田大臣がまた通知を出します。それは,最終学年を除いて2,3年かけて学習の遅れを取り戻す,という通知です。

これにより,4月10日の通知の内容がどう扱われるのかわかりませんが,おそらく家庭学習で済ませるという横暴なことはしないのではないか,と期待を寄せています。

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小学生の宿題は学力アップと無関係!??

小学生の宿題と効果の相関関係については,さまざまな研究がされてきました。

有名どころでは,クーパーの研究によれば,年齢の低い小学生の宿題には効果がないという研究結果がありますし,先行する200の研究を集めてレビューした結果,小学生の宿題は効果がなく,デメリットにさえなる,としています。読書以外の小学生の宿題禁止の指示を出しているアメリカ・フロリダ州の研究チームもあります。

宿題のデメリットは,宿題を強制されることなどにより,好奇心や学習意欲,主体性の低下などが挙げられています。

このコロナ禍で気を付けないといけないのは,まさにこの点ではないかと思います。長期間,宿題を嫌々やってきた子供たちが,勉強嫌いになり,中高生になっていよいよ本格的に学びを開始しようというときに,このことがトラウマになってアレルギーを引き起こさないかということです。

「2,3年かけて学習の遅れを取り戻す」という通知が4月中に出ていれば,5月の各家庭の地獄絵図は防げただろうにと思うのです。9月入学の話なんかにうつつを抜かしているから,だれが考えても分かることが常に後手後手にまわってしまったのではないかと勘繰ってしまいます。

でも,過ぎたことは仕方がない。宿題と学習成果の相関関係を否定するエビデンスがあるのですから,小学生の場合には,宿題をやらなかった,あるいは適当にやった場合にもダメージはないと考えて,親は平然と構えていることが肝心かと思います。親の焦りは子供の伸びを阻む最大の原因にもなりえます。

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今高めるべき子供の力とは??

宿題と学力アップに相関関係がないことは分かりましたが,まだ学校が本格的に始まらない今,家庭でできることとは何でしょうか。

近年よく耳にするのが,「非認知能力」の向上です。さきほど話に上がった「学習意欲」「好奇心」も非認知能力に含まれます。非認知能力は,正解のない問題に対して自分なりに模索し、相手と協力しながら忍耐強く探求し続けることのできる力,と定義されています。主体性、想像力、自制心、自己肯定感、共感力、対処力、やる抜く力、自信、社会性などがその例であり,非認知能力は認知能力(IQやテストの点など,数値で測定できる能力)と密接につながっているとされています。2020年度の学習指導要領にも「生きる力」として登場します。

家庭は,この非認知能力の向上に適した場ではないかと思うのです。特に,「自己肯定感」を高めることは重要です。子供の意見をしっかり聞く。子供の行動の理由を聞く。否定的な言葉を使わない。

休校中のつまらない宿題のせいで,子供は怒られることが多くなり,自己肯定感が低くなっているかもしれませんが,もったいない!プリントそっちのけで子供の興味のあることに没頭するがままにしてもいいですし,子供がプリントをやらないことについてよく話し合い,勉強の意義について親子で真剣に考えてもいいでしょう。ただ情報をインプットするだけなら,学校が再開してからでも間に合います。そして,そのような学びは学校の方が適しているのですから,学校から預かった教育の責任は学校にお返しするのがよいのではないでしょうか。

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