2019年度入試の東葛飾高校の募集定員は去年と比べて80人減となりました
その影響が果たしてどの高校に表れるのか,ずっと気になっていました。
「東葛高校の倍率は上がる!?」
「薬園台,県柏,小金高校の倍率は上がる!?」
2019年度千葉県「中学3年生の進路希望調査」を分析してみました。
2019年度東葛飾高校の志望者数
2019年度入試の募集定員は,東葛中学から上がってくる生徒の人数分(80人)減り,240人となりました。
東葛飾高校の2019年前期志望者数は432人となっており,志望者の前期倍率は3.00倍です。
驚きました!!
これまでの志願者数の推移は:
2015年:584名
2016年:536名
2017年:487名
2018年:590名
もちろん,今回発表された数字はあくまでも「志望者数」ですから,実際の入試の倍率の変動はあるものと思われますが,それにしても432人はこの5年では最も少ない人数ですし,多かった去年と比べると,168名減です。
さて,その減った168名がどこに行ってしまったのかが気になりました。
周辺の高校の志望者数を見てみましょう。
県立船橋高校の志望者数
東葛高校と船橋高校とでは,地理的に離れていますので,東葛高校志望者が船橋高校を志望することはあまり考えにくいとは思いますが,80名の定員減で何が起こるか不透明なのを嫌った生徒が,安定を求めて船橋高校を志望する,という可能性について考えてみたいと思います。
2019年度船橋高校の前期志望者数は795名で,前期倍率は4.14倍です。
去年はと言うと,前期志望者は790名でしたので,ほぼ変わりありません。
志望校を東葛高校から県立船橋高校に変えた人はあまりいないようです。
では,どこの高校に流れたのでしょうか。
さらに周辺高校の志望者数を考察します。
薬園台高校の志望者数
最も影響を受けそうなのが,第二学区二番手高校の薬園台高校です。
2019年度の志望者数は,393名,倍率2.34倍です。
2018年の志望者数は393名とぴったり同数ですので,こちらにも流れた気配はありません。
激減した東葛志望者たちはどこへ行ったのでしょう・・・???
県立柏高校の志望者数
薬園台高校の次に東葛志望者が流れていきそうな高校は,東葛高校と同じ第三学区二番手の県立柏高校です。東葛高校の最寄り駅の隣駅が最寄り駅ですので,地理的には最も近い高校の一つです。
2019年度の志望者数は382名,前期倍率2.27倍です。
2018年度の志望者数は427名ですので,むしろ減っています。
小金高校の志望者数
薬園台でも小金でもないとなれば,次に影響がありそうなのが小金高校です。
2019年度の志望者数は653名,前期倍率3.40倍です
2018年度の志望者数は618名ですので,35名の増加となっています。
それでもまだ東葛の減少した志望者の行き先が不明です。
佐倉高校の志望者数
今年の佐倉高校の志望者数は・・・539名でした。
2016年:503名
2017年:517名
2018名:455名
ですので,去年と比べると84名増です。
どうやら,減った東葛の志望者の多くの行き先は佐倉高校になったようにも見えます。ただし,これはあくまでも進路志望調査の結果にすぎませんので,これを見て佐倉高校から別の高校に変える受験者もいるでしょう。
志望者の多かった2016年と2017年には,実際に願書を提出した人数は,およそ50名減りました。
東葛高校志望者減の影響を受ける高校
さて,このように志望者数を見てみると,東葛高校が大きく志望者を減らした一方で,佐倉高校と小金高校で志望者が増えています。
しかし,佐倉,小金高校だけでなく,薬円台,県立柏高校も,人数以上に大きな影響を受けそうだと思うのはわたしだけでしょうか。
東葛高校との偏差値の差は,佐倉高校で2,薬園台高校で3,小金高校で5,柏高校で7となっています。
どのような受験者層が東葛を前期から諦めるのでしょうか。
東葛は地域のトップ校です。トップと二番手には(精神的に)大きな違いがありますから,ずっとトップを目指していた受験生が前期から二番校に落とす場合には,相当な安全志向(必ず前期で受かりたい人)か,過去問や模擬の手ごたえから,東葛に受かる望みが著しく低い受験層,ということになるはずです。ギリギリのラインにいる受験者層は,とりあえず前期だけでも東葛を受験するという選択肢もあるのですから。
さて,極度に安全志向な人は別として,去年の過去問で東葛高校の合格最低点に遠く及ばない人の当日点は何点くらいなのでしょうか。
合格最低点はどこにも公表されていないので正確な数字は分かりませんが,色々な情報を総合して考えると,去年の東葛高校の前期試験の合格最低点は565点前後だと思われます。内申点が120点だとして,445点です。
過去問で440点前後取れていれば,「とりあえず」前期だけでも受験するでしょうから,実際には420ー440点の受験者層が周辺の高校に流れた可能性が高いのではないかと予想します。東葛から流れてきた420ー440点点前後の受験層がこれらの高校の合格最低点を押し上げることは十分考えられます。
つまり,佐倉,薬円台,県立柏高校,小金高校の志望人数は去年と大差なくとも,受験者層のレベルが去年よりも上がるということは考えられます。
ということは,さらにその周辺高校の受験者層にも変化が及ぶ可能性もあります。
今年の動向を占うために,今年の次に東葛高校の志望者数が少なかった2017年度入試について考察を加えてみます。
東葛高校の志望者が少ない年に影響を受ける高校
2017年度の志望者数
東葛高校の志望者数:518人(実際に願書を提出した「志願者数」は487人)
船橋高校:797人(今年度:790人)
薬園台:500人(今年度:393人)
県立柏:402人(今年度:382人)
小金:604人(今年度:618人)
佐倉:517人(今年度:539人)
2017年に影響を受けた高校
東葛高校の志願者数が近年最も少なかった2017年度入試で志望者を大きく増やしたのは,薬園台高校でした。東葛から薬園台に志望者が流れた形です。今年も薬園台に流れるものと思っていたので,とても驚きました。
結局のところ,今年は2017年のように,偏差値の近い周辺高校にそれほど大きな志望者数の変化がありませんでした。
考えられる現象として,東葛80人減を警戒して,第二,第三学区の一番手校,二番手校志望者,さらには三番手校志望者が安全策を取って,見込みの薄い生徒の志望校を一つずつ落としたーーということでしょうか。
今年の千葉県入試は読めません。千葉県公立高校入試一本化に向けて正確なデータが必要なこの時期に,東葛80人減という条件の変更が大きくデータを狂わせそうで・・・タイミング的に大変迷惑です。