何を学習する場合でも,問題集は大きな効果を生みます。アウトプットの訓練は欠かせません。
ただし,正しい使い方をした場合に限ります。効果を最大限発揮する問題集の活用方法について考えてみたいと思います。
問題集に書き込まない
まず、問題集を使ううえでの大前提は、「問題集に書き込まない」ということです。小学校でもらっていた漢字ドリルや計算ドリルに書き込んでいた習慣で、ついついまっさらな問題集を見ると張り切って書き込みたくなるかもしれません。
が、問題集を有効活用して点数アップを目指すならば、決して決して決して(しつこい)問題集に書き込んではいけません。理由は後述いたします。
学校の先生が、ワークに答えを書き込んで提出するよう言うかもしれません。
しかも、かなりの数でそういうことを言う先生が存在あしまう。こういうことを言う先生は、ちゃんとした勉強方法を知らないのではないかと疑ってしまいます。おそらく、ちゃんと子供がやったかどうかを「先生」が確認しやすい、という理由だけで書き込んで提出させているのだと思いますが、この悪しき伝統を変えるべきだといつも思っています。
もし運悪くそのような指示を学校から受けている場合には、ワークの全ページコピーを取ってから、書き込みます。理由は後述します。
問題の解き方
①解く
まず、解きます。
しつこいようですが、問題集には書き込みません。
ここでおすすめするのは、コピーを取り、そこに答えを書き込む方法です。ノートに答えだけ書いていく方法もあるのですが、コピーに書き込む方がいくつかの理由でおすすめです。
解くスピードが速い
ノートに答えを書くのと比べて、ということです。
書き写す際の間違いがない
特に数学などは、すでに書かれている問題をもう一度ノートに書き写す手間が省けますし、その際に起こる無駄な間違いもなくなります。
問題をとばさない
ノートと問題集を行ったり来たりしていると、問題を飛ばしていても気づかない場合があります。すべての問題を確実に解くことができます。
答え合わせの効率が格段に上がる
コピーした問題に書き込むことの最大の利点は、これです。コピーした問題に書き込むと、答え合わせをしたときに、暗記科目ならばその場で問題と答えを目で見て覚えることができますし、数学などの思考系の問題も、図などを見ながらその場で解き直すことができます。
もしノートに答えを書いていた場合、ノートと解答集とで答え合わせをすると、間違い直しをする際に、そのノートのページに該当する問題集のページの、さらに該当する問題を探すのはとても面倒なので、解き直しをしないで間違いを放置する可能性が格段に上がります。後で解き直しについては詳しく述べますが、このステップをしないと、問題集の効果は半減以下になります。
②答え合わせをする
「鉄は熱いうちに打て」。答え合わせは、解いてからの時間が短ければ短いほど効果を生みます。できれば1ページ解き終わったところで答え合わせをする。わからない問題や苦手な分野ならば、1問ずつ答え合わせをしてもいいぐらいです。
暗記科目ならば、答え合わせをして間違えを見つけた瞬間に正解を覚えます。次に同じ問題を解いたら必ず解けるようにします。
③間違えた問題に印をつける
間違えがあったら、問題集の該当する問いに印をつけます。これは、あとで解き直すためです。このひと手間を怠ると、解き直しをしないか、または正解した問題も含めて全部解き直すはめになるかのどちらかで、非効率極まりないです。
忘れないうちに問題集に印をつけます。
④間違えた原因を突き止める
このステップは、暗記物には不要です。思考系、特に数学の場合にはこの原因究明が必要です。なぜその問題を間違えたのか?
ここで大切なのは、「凡ミス」で片づけないことです。どのようなミスだったのか、なぜそのミスが起こったのかを探っておかないと、次の同じ「凡ミス」をします。そして、その「凡ミス」が集まって山となって、テストや入試の合否が決まるということを忘れてはいけません。
例えば、計算の凡ミスが起こった場合、その原因は何だったのか、一つ一つ自分の回答のプロセスを見てみます。
すると、「自分の書いた数字が汚くて6と0を間違えて読んだ」「先頭のマイナスを忘れていた(符号間違い)」「2×3=5にしてた」というような、自分の間違いのクセが見つかるはずです。あるいは、ただ解法が思いつかなかったからかもしれません。
この手順は、全工程の中で最も大切なステップです。この精査と原因究明をせずに、とにかくひたすら問題を解いては答え合わせをしても、結局次も同じ問題を間違えるだけで、まったく問題集の効果がありません。
学力が上がるのは、まさにこの間違え直しの瞬間だと思ってください。
自分のできていない現実と対峙するのは心地のよいことではないかもしれませんが、そんなときは、「今、学力上がってる、あがってる」と思いながらがんばってみてください。実際そうなのですから。
⑤解き直す
原因がつきとめられたら、あるいは解法を理解できたら、ここで安心してはいけません。今度は答えを見ずに、同じ問題をその場で解き直して正解できるか確認します。
⑥2周目
①-⑤のプロセスですべて解き終わったら、次は印のついている問題だけ解きます。また間違えた場合には、付箋をつけます。要注意問題というわけです。
⑦3周目
2周目の解き直しを終えたら、付箋のついている問題のみ解き直し、すべての付箋がはずれるまで何度でも解き直しを繰り返します。自分が解いた問題集と同じ問題が出たならば100点が取れる、という状態を目指します。