中3の実力テストは全力で受けるべき理由

合格のために

我が家の子供たちが通う公立中学では,毎学期実力テストを行う。恐らくそんな中学は多いと思う。

学校は,その実力テストの偏差値は利用していない,と言うのだけれど,これは建前だ。

最初にそう思ったのは,一番上の子供(タイ)が中3のとき。

わたしたちの住む県では,「併願推薦」という制度がある。中学浪人を出さないよう,受験の前に中学の先生が生徒の成績を持参して,高校と相談を行い,いわば協定を結ぶのだ。この協定があれば,生徒はほぼ「当確」を約束される。

タイが滑り止めに選んだ高校は,特待制度が充実していて,高校見学に行ったときに,どのような条件ならばどの特待が取れるかということを具体的に説明してくれた。

それによれば,「学校の定期テストで5番以内なら1種特待」とあった。3年間,授業料免除だから,厳しめだ。

ところが,高校との相談から戻ってきた先生が,不思議なことを子供たちの前で言ったのです。

「『〇〇中学は優秀ですね。1種特待を10人も出せるなんて』と高校の先生にほめられたよ。」

ん???

1種特待の条件は「学校で5番以内」なのに,10人てどういうこと??

少し考えて,ハハーンと思った。

校内順位以外に中学が高校に持っていける客観的な数字と言えば,実力テストしか考えられない。県内のほかの中学も受けているのだから,その偏差値はその生徒の実力をかなり正確に映し出しているだろう。

タイは定期テストではふるわなかったため,1種特待は難しいとあきらめていたのだが,そういえばちょうどそのころ,タイは実力テストでいい成績をたたき出していた。それで特待をもらえたのだとピンときた。

さて,あれから7年。

今度はカンが高校との協定を結ぶ時期がやってきた。

カンが滑り止めに考えている高校には,特進クラスと普通クラスがある。特進クラスは内申点が5教科で25点中24点なければならないのだが,カンの今学期の内申は24点には満たない見込みだと先生から言われた。

ところが,先生はこう言ったのだ。「とりあえず特進で協定結べないか相談してみる。」

内申基準というのは厳格なものだと思っていたのだが,それに満たなくても協定を結べる可能性があるということを知った。

これを聞いて,7年前のことを思い出し,さてはまた実力テストの偏差値をもって相談に行くのだと思った。

そんなある日,カンが目を輝かせてわたしのところにやってきた。

「実力テストで学年3位!!」偏差値は70ほどだった。

これでまたピンと来てしまった。これは入試相談の材料としては文句ないだろうから,きっと協定を結んでもらえるはずだ,と。

そして今日,カンが不思議そうに「お母さん,特進コースで決まったって」と報告してきた。やっぱり。実力テストのおかげに違いない。

「実力テストは成績に関係ない」のだけれど,塾なしの場合,この実力テストをペースメーカーとして復習を繰り返すことは,入試をラクに戦うための知恵だと常々思っている。

そして,中3の実力テストは,私立高校との入試相談に使われることもあるため,全力で取り組むこと,と声を大にして言いたい。

もちろん,中3は常に受験勉強をしているのだから,全力で取り組まない実力テストなどないはずなのだけど。