【高校受験】塾はいつから行くべき?~公立高校志望の中学生の場合~

春!!

新生活に向けて動き出している方も多いと思います。

この時期,塾のチラシをたくさんもらいます。

「無料講習」「志望校に絶対合格」などの文字が躍るチラシをもらうと,なんだかお尻がもぞもぞする方もいらっしゃるかもしれません。

「塾に行かせた方がいいの?」「でも,お金がかかるし・・・。」「部活も忙しいし・・・」「もう少し後から行かせてもいいのか・・・?」など,悩みは尽きません。

そもそも中学生に塾は必要か

中学生になると,何となく周りがみんな塾に行き始めるので,「うちもそろそろ入れたほうがいいのだろうか」なんて考え始める人も多いかもしれません。

あるいは,中学に備えて,中学受験をするわけではないけれども小学校の高学年から塾を検討する人もいるかもしれません。

そもそも,塾は必要なのでしょうか?

結論から言うと,「すべての人に必要なわけではない」ということです。特に,公立高校を第一志望とする場合,出題される内容は学校指導要領の範囲内に限定されるため,塾で学校で習うこと以上の授業を受けられるわけではありません。

ただし,塾が効果を発揮する中学生が一定数いるのも事実です。

我が家は子供を塾に通わせませんでしたが,いろんなお子さんを見ていると,塾に通うメリットを受けられるお子さんは確かにいる,と思います。どのようなお子さんが塾のメリットを受けられるか考えてみます。

授業を一度で理解できない

公立中学の授業を一度聞いただけでは理解できない場合には,通塾が効果的であるかもしれません。

小学生までの授業の進度はカメの歩みですが,中学に入って少し経つと,速度を徐々に上げていきます。このときに,学校の授業だけでは学校のワークを全然解けない,というお子さんは,もう一度授業を聞いて理解する必要があります。

ご家庭でこのサポートができない場合には,塾に行くことで理解を深めることができるでしょう。

知り合いのお子さんが中学に上がって,数学の授業をまったく理解できずに毎晩泣きながら宿題をしている,ということをそのお子さんのママから聞いて,わたしがその子を教えたことがありました。

もう一度教えれば,おおむね理解できました。一度でだめなら二度授業を聞く,というわけです。

塾では通常,学校の学習内容をやや先取りします。そこですべてを理解できなかったとしても,歩い程度わかった状態で丁寧に授業で説明を聞くと,圧倒的に理解しやすくなりますし,分からない部分だけ集中的に聞けばいいため,集中力を保てます。

指示に従える

塾に通ってはいるけれども全然成績が上がらない,というお子さんがいます。塾が合っていない,なんて思って次々と塾を変えたりすることがありますが,このタイプのお子さんは,いくら転塾してもうまくいきません。

塾に通っていると,ついつい塾がすべての面倒を見てくれるような錯覚に陥りますが,塾にいる時間は一週間の間でそう長いわけではありません。

その短い時間だけで理解しきるのが難しいため,塾では小テストをしたり,課題を出したりしますが,テスト対策や課題を家でまったくやらなければ,ただ授業をもう一度聞きに行っているだけです。

インプットの回数を一度増やしたとしても,アウトプットの量が同じであれば,効果が限定されます。

塾のメリットを最大限受けられる生徒というのは,塾の指示に従って勉強できる生徒です。

逆に言えば,一度で学校の授業のほとんどを理解できる生徒は塾に行く必要がありませんし,学校の宿題もほとんど出せない生徒は,塾に行っても成績がさほど上がらないことが予想されます。

さて,塾に通うと決めた場合,塾はいつから行けばいいのでしょう?

通い始める時期とその目的,その時期が合っている子供について考えてみたいと思います。

中学入学前

最近は,中学に入学する前から塾に入っている小学生がいます。中学受験をするため,というわけではなく,公立中学に通う準備として塾に入るのです。

この時期に塾に子供を入れるご家庭は,金銭的にかなり余裕のあるご家庭です。なぜなら,この時期にできる英語などのスタートダッシュは,特に公立中学には必要ないからです。そのような先取り教育の余裕は,中学が始まればあっという間に吸収されてしまいます。

必要はないけれども,「何となく心配だから」「勉強の習慣をつけておきたいから」という理由で通わせるのでしょうから,よほど金銭的に余裕のあるご家庭しかできません。

できるだけお金をかけずに教育を受けさせたい,というご家庭は,この時期はしっかりと勉強の習慣を身につけさせることの徹すれば十分です。難しいことをする必要はありません。学校の宿題をする,帰ってきたテストのやり直しをする,漢字のテストくらいは試験勉強というものをさせてみる,くらいです。

中学時代に塾に通う場合,その総費用はかなりのものにのぼります。一見月々の塾代が安いように見える塾でさえ,塾のかき入れ時である季節講習と中3の費用を合計すると,びっくりするような金額になります

また,高校受験はあくまで通過点です。大半の人が大学進学を選択するこの時代,最終学歴は大学以上ですので,むしろ必要なのは高校の塾代です。ここぞというときに金銭的に息切れしてしまわないよう,今はしっかりご家庭でできる教育をしてお金をためておくのが賢明でしょう。

中学入学時

中学入学時に入塾する生徒は比較的多いでしょう。「ついていけなくなると困る」という漠然とした不安から入塾させるご家庭が多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと,中学入学時は,最も入塾に向いていない時期だと言えます。

小学校6年間,平穏に,極力公平に,教育を受けてきた子供たちですが,中学に入った途端,時間的にも体力的にも精神的にも多大なストレスを受けます。部活動が始まった途端,それまでなかった上下関係が発生し,体格の大きな中学3年生と一緒に厳しいトレーニングを遅くまで行う人も多いでしょう。

ずっと見知った友達ばかりに囲まれていた小学生とは異なり,新しい友達との関りが始まり,気を遣いますし,突然定期テストなるものが生活の中に入り込み,自分の立ち位置を知らされるというストレスに加え,ホルモンバランスの乱れも重なって,心身とも大きな負担にさらされることになるのです。

こんなときに,さらに塾通いという新しい負担を強いるのは,得策とは言えません。中1の1学期は,中学生活に慣れることを一番の目標として,周りの人たちは本人がそれを達成できるよう陰ながら見守り,応援しましょう。間違えても,やれ勉強しろ,やれ塾に入れと言って,さらに負担を増やし,親子関係をこじらせてはなりません。

また,中学に入学してすぐは,やれオリエンテーションだの新入生歓迎会だのと,授業の進度は非常にゆっくりですから,中1の1学期に例え学習内容が完全に理解できなかったとしても,夏休みで十分取り返すことが可能です。1学期は,ともかく本人の精神と生活様式,親子関係の安定を最優先することが,今後大きく力を伸ばす土台となります。

「でも,内申の対象は中1の成績も含まれるんだけど・・・。」という人もいるでしょう。ご自分の都道府県の内申の詳細について,よく調べてみてください。中1の1学期の成績は最終的な内申書にどのように反映されるのでしょうか?その割合は?

≫参照:【高校受験】中学の内申って何年生の成績が反映されるの!?~都道府県別の内申事情まとめ~ 」

我が家の住む都道府県では,内申の割合は,「内申+入試の点数」という合計点の5分の1のも満たないうえ,内申の対象となる学年評定は,それぞれの学期の内申点の平均(小数点以下は切り上げ)でしたから,1学期が3,2学期が5,3学期が5ならば,中1の内申点は「5」となります。つまり,中1の1学期で多少失敗したとしても,まだまだ取り返しがつくのです。

ただし,このやり方は親がハラハラするのは確かです💦
それはいやだ!という場合は,小学生の間に英語と数学だけ塾に通い始めるか,小学校の卒業後すぐに春期講習で先取り学習をすると最低限の自信をもって授業に臨むことができるかもしれません。

注意が必要なのは,最近は英語が小学校から教科化され,学習指導要領が大幅に変更されたため,中1英語は極めて難易度が高くなっています。知識がないだけで,英語の入り口に自信を失って英語嫌いになる生徒が発生しますので,何らかの準備をおすすめします。

参照☞改訂:中1ショック!小学生のうちに英語の自宅学習で偏差値70~おすすめ勉強方法~

 中学2年生

中学2年生から通おうかと考えている人は,中1までは何とか塾なしでやってきたけれども,そろそろ高校受験に向けて力を入れていこう,という人でしょうか。

もしも,中1の間,塾なしでも定期テストで5教科合計400点以上取れているならばまだ塾に行かなくてもよいかもしれません。そのくらい取れているならば,授業でほとんどのことを理解し,學校のワークもまじめにできているはずですから,そのまま中学2年生の秋ごろまでは塾なしでもやっていけるでしょう。中2の冬期講習当たりから入塾するとよいかもしれません。

もし400点取れていない場合には,授業だけでは理解しきれていない可能性が高く,このまま分からないことを積み重ねていくと,分からないことが雪だるま式に増えていってしまいますから,そろそろ塾に行ってもよいかもしれません。

中学3年生

部活が終わってから,中3の夏休みに塾に入ろう,という人も少なからずいると思います。中1,中2と安定して400点以上を取ってきた人ならば,それでもよいかもしれません。

実は,我が家の子供はそれを狙っていたのですが,できませんでした。なぜなら,夏から受け入れてくれる塾があまりなかったからです。公立中学の授業の進度というのは,高校受験直前ですべてを学習するような進度であったり,もっと悪い場合には,受験時にも学習内容をすべては教え終えていない,というようなこともあります。

ですから,塾に行くメリットの一つとして,「先取り学習」があります。夏すぎには早々に中3の学習内容をすべて教え終えて,ひたすら演習をする,という方法です。つまり,夏休みが始まる時点では,ずっと塾に通っていた塾生と,学校の進度に合わせてきた生徒とでは,進度に開きがあるため,塾生とは違うカリキュラムで急いで先取り学習をしなければならなくなります

中3の2学期の学習内容は入試に直結する大切な内容ですので,これを急ぎ足で詰め込むことは勧められないですし,もしもそれまで学習の習慣がなかった人や,基礎の積み重ねのない人は,ついていけないことが考えられます。

結論ですが,塾を使って高校受験を乗り切ろうという場合,入塾のタイムリミットは,中3の春休み,ということになりましょう。

裏技

どうしても部活を終えてから入塾したい,という場合,集団授業ではなく個別授業を受けるとよいでしょう。家庭教師でもかまいません。実は,個別授業も家庭教師も,コスパがよい教育機関です。塾はすべての授業を取らなければいけませんし,夏期講習も辞退できないことも多いようですが,個別授業と家庭教師でしたら,自分の必要なところだけ強化してもらい,不要な授業を徹底的に省くことができます。

いいところばかりな個別授業や家庭教師ですが,難点が一つだけあります。それは,子供に合ったよい先生が見つかるか,ということです。最近は,家庭教師もネットで探せますから,先生のプロフィールをよく読んで,子供が目指している高校から目指している大学へ進んだ先生や,先生が指導するうえで大切にしていることなどを比較していくと,よい先生が見つかるかもしれません。

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