中学生になる,ということは子供本人にとっても親にとっても大きな変化です。
ついこの間まで楽しく小学校で学び,遊んでいればよかったのに,「定期テスト」なるものが突如出現し,生活の中心が勉強になるのですから。
しかも,自分の立ち位置を知らされるのです。これは,子供にとってものすごく高くて分厚い壁になります。
毎日の勉強
予習は必要か?
小学生のときから予習をしていた人はとても少ないでしょう。中学に入ると,「予習,復習をちゃんとやる」などと聞きますが,予習は必要なのでしょうか?
わたしは「予習は必要ない」と考えています。
中学校の学習の進度はそれほど速くありません。高校になると,予習して臨まないと太刀打ちできないスピードで授業が進みますが,中学校ではそうではありません。また,中学1年生の4月,5月は特にゆっくりと進みますから,予習はせずに授業を大切にしましょう。
授業内で教えられることをその時間で理解しきってしまう,という気概をもって,集中して取り組みましょう。学校の先生は教えるプロです。何をどのように教えればよいか訓練を受けている先生の授業によく耳を傾けるためにも,予習はしないでよい,しない方がよいとさえ言えます。
したがって,中学生の勉強の中心は復習です。
毎日の家庭学習
では,毎日どのような勉強をすればよいのでしょうか。
宿題
「当たり前だ」と思われるかもしれませんが,学校の宿題は何より大切です。漢字や計算,英単語や小さなドリルなどの簡単な宿題が毎日出されることがあります。ささやかすぎて目立ちませんが,実はこの小さな積み重ねが受験のときに大きな力を発揮します。
漢字は少しずつ増やしておけば,受験前に漢字に時間を取られることがありませんし,英単語もしかり。また,計算力は短期に培えるものではありません。受験期に計算ミスに泣く受験生はたくさんいます。学校の先生が出す宿題には,経験にうらうちされた目的と意味があり,自分でその大切さが分からなかったとしてもぜひやりましょう。
学校の副教材
宿題をやったら,次にやるべきものは学校で配布されるワークです。学校で学んだことに相当する部分をその日のうちに復習できたら,大きな力になるでしょう。その日でなくても,その週にはワークで復習しましょう。学校のワークは基礎力の定着に大いに役立ち,公立中学の定期テスト対策はこのワークが中心となります。
その他の教材
上記の二つを勉強して,さらに余裕がある人は,その他の教材に取り組みましょう。通信教育や市販のドリルなどです。すべての教科を毎日勉強する必要はありません。毎日少しずつでも勉強したいのは,英語と数学です。そのほかは,必要に応じて追加します。
教材の選び方については,以下の記事を参照してください☟
定期テスト対策
定期テスト2,3週間前になると,学校で範囲が知らされ,計画表が配られるでしょう。さあ,定期テストに向けて勉強しましょう。
計画
学校から配られる計画表を適当に埋めてはいけません。よい計画こそ成功の秘訣です。ここでいかに完璧な計画を立てられるかで結果のよしあしの半分は決まるといっても過言ではありません。では,どのように計画を立てればよいのでしょうか。
逆算する
試験までの時間は限られています。のんびり,その日にできること,やりたいことだけをやっていって最後に時間切れになることは避けなければなりません。そのためにはスケジュールを逆算します。
・最終確認期:あらゆる問題集の3週目(2回間違えた問題のみ)
・中間確認期:あらゆる問題集の2週目(1回間違えた問題のみ)
・基礎定着期:あらゆる問題集の1週目
それぞれにかかる日数を算定します。
タイの例:
・最終確認期:2日間
・中間確認期:3日間
・基礎定着期:10日間
定期テストは常に金曜日だったので,その1週間前の金曜日にはすべての問題集の1回目を解き終えている,という計画を立てていました。そして,1週間前の土曜日と,テストの週の月曜日,火曜日で問題集の二週目(1週目に間違えた問題のみ)を解き,水曜日,木曜日に問題集の3週目(2週目にも間違えた問題のみ)を解きます。
範囲を確認する
まず,同じ学校から配られているはずである,試験範囲をじっくり読みます。「~の実験の手順をしっかり勉強すること」「元素記号を覚えておくこと」などの注意書きがあれば,それを勉強する日を作って計画に書き込みます。
また,学校ワークのテスト範囲を特定し(すでに指定されている場合が多い),そのワークを,いつ,どこからどこまで解くかを決めて書き込みます。このとき,「3ページ」などと書き込まず,「p.2-p.5」など具体的なページ数を書き込みます。
何を勉強すればよいか
定期テスト対策として何をすればよいのでしょうか。自分が使っている問題集を3週回します。
①学校のワーク:基本となる問題集です。確実に3回まわして定着させましょう。
②通信教育や市販ドリル:3回まわします。
問題集の詳しい使い方については:
【高校受験・定期テスト・実力テスト共通】差が出る問題集の使い方
③単純な暗記もの
漢字,社会,英単語など。
計画通り勉強する
計画を立てられたら,あとは計画通りに勉強します。
問題を解いたら必ずすぐに答え合わせをします。間違えたら,その問題にしるしをつけておきます。解説をじっくり読み,解説を理解できたら,すぐに答えを見ないでもう一度問題を解きます。そこまでが一週目に行うことです。
2週目は印のついた問題のみ解きます。1週目と同様,すぐに答え合わせをして,また間違えたら,その問題に印をつけ,解説を読み,もう一度答えを見ずに解きます。
3週目は印が二つついた問題(2回連続で間違えた問題)のみ解きます。3週目も間違えた問題には印をつけ,できるようになるまで何度でも,いつまででも解き続ければ定着するでしょう。
実力テスト対策
中学1年生から,学校で実力テストが行われます。この実力テストにどのように対処すべきでしょうか。実力テストは通知表の評価に考慮されないため,まったくの実力で臨んでよいのでしょうか。
結論:実力テスト対策は,ぜひしましょう!!
暗記ものの内容は,定期テストが終わった瞬間忘れてしまうものですし,英語や数学など,積み重ねの教科でさえ,ひとたび別の分野を勉強し始めた途端,3か月前の学習内容を忘れてしまう,ということもよくあります。ですから,実力テストのたびにそれまでの学習内容を復習し,定着をはかるのです。
タイの学校では,中1と中2には,夏休みの後と冬休みの後の2回実力テストが行われました。実力テストでよい成績を出せるように,その直前の休みの勉強計画を立てると,自然とそれまでの復習をすることができました。また,暗記ものは短期記憶から長期記憶に変わり,受験前に3年分まとめて暗記する必要がありませんでした。
社会・理科
学校のワークを解く
or
進研ゼミ通信教育の「暗記ブック」と「予想問題集」を3週。
英語・数学
学校のワークを解く
or
進研ゼミ通信教育の「予想問題集」を3週。