塾に通っているのに成績が上がらない場合

中1・中2の勉強方法

運営している塾には,様々なお悩みの訴えが集まってきます。

昨日は,「英語で20点しか取れない。お宅でどうにかなりますか?」というもの。中2生だということでした。

さて,どう返事をしたものか。

中学のテストで20点,30点しか取れない

結論から言うと,私の運営する塾は集団塾(しかも先取り型)のため,お断りをしました。

塾を開講当初に仏心を起こして同じような状況の中1生をお預かりして,手を尽くしても改善しなかった苦い経験があります。

公立中学には様々なバックグラウンドをもつ生徒がいるため,公立中学の定期テストは,どのような子供でも解ける簡単な問題が必ず混じっているものです。

また,三択問題,四択問題などもあるでしょうから,思いがけず正解になる問題もあるはずです。

それで20点ということは,何か大きな妨げになる要因があると考えざるを得ません。

お預かりした中1生の場合,普段のコミュニケーションもゆっくりで,何か少しずれているような感じを受けるのですが,それでも会話は成り立っていました。

ところが,授業で説明しても,内容がまったく理解できないようでした。まるで,日本語が理解できない相手に語りかけているような感覚です。

中1生のほんの入り口の文法事項を理解するのに永遠とも思える時間が必要で,しかも定着度が低く,やっと理解したか!?と歓喜するも,翌週にはすべて元通り,ということの繰り返しでした。

家庭でもお母様が手を尽くして,それこそつきっきりで教えようとされましたが,まったく理解していない,と嘆いておられました。

この中1生については,集団授業だけではついていけないため,特例で個別授業もしましたが,事態は一向に改善されず,3か月で退塾されました。

英語は文法と英単語でできているわけで,どちらも理解できれば英語は理解できるようになるわけですが,理解力(文法・文章)と暗記力(語彙)にひっかかりがあると,思うように習得できません。

自分にそのようなひっかかりがないと,ついつい「この子は努力が足りない」とか「集中力が足りてない」など根性論にもっていこうとしてしまいがちですが,努力をしても集中してもできないことはあるのです。

中学の数学では90点取れていた人が高校数学では30点を取るような事態になる,ということがありますが,そういうことがもっと早い段階で起きて,小学生のときにはあまり大きな問題があるようには見えなかった生徒が,中学に上がって,力の弱さが露見するということがあります。

では,そういう生徒はどうしたらよいのか。

まず,集団塾はなじみませんから,勉強を教えてもらうとしたら個別塾をお薦めします。そして,個別塾で習ったとしても状況が改善しないとすれば,得意なものを伸ばすことに目を向けるべきでしょう。

言語が不得意だけれども理科の実験は好き,数学にはめっぽう強い,料理が大好き,工作が得意,などの強みをとことん追求させるのです。

インターネットとSNSの時代になり,好きなことを生業とすることができるようになりました。サラリーマンにならなくても生きていけるのですから,好きなことに専心できる環境を作り,子供の自尊心をいたずらに傷つけないことが大切ではないかと思います。

半年で偏差値30台から60に上がった高校生

中学生の20点を平均点にもっていくのは至難の業ですが,偏差値30台の高校生の英語が偏差値60になったのは実際に見たことがあります。

入塾当初の英語の偏差値は30台でした。偏差値30というと最下層です。

入塾した時点ですでに高2の冬でしたが,入塾を許可したのには理由がありました。

それは,その生徒は理系の生徒さんで英語のモチベーションが低く,これまで勉強してこなかった,ということが一つ。

また,そこそこの私立一貫校に通っており,一定のポテンシャルがあるものと推察できたからです。

つまり,勉強してもできないのではなく,勉強を怠ってきたために点数が取れないだけだと仮定して,お預かりしました。

結果,半年間で偏差値は30台から60に上がりました。

このような偏差値爆上がりが起こるには,いくつかの条件が必要です。

偏差値爆上がりの条件

まず,偏差値が低い状況が,努力不足によるものであることが条件です。一生懸命勉強しているのに上がらない,という場合には,塾に通うなどのテコ入れをすることで偏差値はある程度上がるでしょうが,そもそもすでに努力しているわけですから,のびしろはそれほど大きくはないでしょう。

爆上がりするには,単純に元の偏差値が低くなければなりません。

体重30キロ減量できました!!という人のほとんどは,元の体重が100キロ超えなのと同じです。元の状態が悪ければ悪いほど,のびしろは大きいのは当然です。

もう一つは,ポテンシャルです。

先ほどの中1生や高2生の例にもあるように,もって生まれたポテンシャルは見過ごせません。

そして,このポテンシャルは,小学生から中学生,中学生から高校生へ上がるにつれて,次第にはっきりと現れ,知能が低い場合に人との差は広がる一方であることも,ある調査から分かっています。

つまり,偏差値が爆上がりするには,ポテンシャルはあるが努力をほとんど,あるいはまったくしていない,という条件が必要です。