「子供」「やる気」。
タイが中学生になってから,何度かネットで検索した言葉。
中1,中2のタイは,やる気ゼロ。
・・・に見えました。本人はがんばっていたそうですが。
いえ,一生懸命やっているのに成績が悪いのは,赦せるのです。
すぐ寝る。二言目には疲れてると言う。それだけもまだ赦せるのです。
だけど,ゲームだけは何でいつまででもできるのよ!?
この子の将来,どうなるの!?イライラ。
・・・となっていました,私。
子供のやる気はどうすれば上がるのでしょう?
タイのことで悩んだときにいろいろな本を読み,試してみましたが,
子供のやる気をそがないことはできても,
子供にやる気を出させることはできない,ということが分かりました。
結局のところ,やる気を出すのは子供本人です。
A 子供のやる気をそがない環境づくり
1.普段の会話
これは勉強のやる気以外についても言えることですが,
子供に何か大切なことを教えたくても,
良好な親子関係がなければ,親の言葉は子供の耳に入りません。
ですから,普段の何気ない会話がとても大事です。
「そんなしょーもないことしゃべってないで,勉強すれば!?」
と内心思ったとしても,子供が話すときは耳を傾け,大いに笑いましょう。
そういう土台があれば,たまに見かねて「勉強しなさい」と言っても,
子供のやる気をそぐことはないように思います。
2.親自身が怠惰に過ごさない
子供,特に思春期の子供は親のことをよく見ています。
親がテレビやスマホにうつつをぬかしてばかりいれば,
なぜ自分だけ勉強しなければいけないのだろう,と思うでしょう。
いえ,親も子供の時代には勉強したのですよ。
高校受験も,もしかすると大学受験も乗り越え,
だから今を楽しめているのですよ。
でも,子供にはそんなことは理解できません。
そんなことを理解できる子は,自分からさっさと勉強しているでしょう。
ですから,子供が勉強しているときは,親も何か有意義なことをしてみましょう。
勉強でなくてもいいと思います。
掃除でも,明日の弁当の下ごしらえでも,家計簿をつけるでも,何でもよいのです。
わたしは,タイの受験期,子供のいない昼間にたらふく昼寝と楽しいことをして,
夜に家事や仕事をしていました。
親の働く姿を見せましょう。
親の怠惰な姿は子供のやる気をそぎます。
B 子供のやる気を刺激する工夫
子供によってやる気スイッチは異なると思いますし,たいがいスイッチは一つではなく,合わせ技が必要となります。
合わせ技の組み合わせは子供の数だけありますが,
タイに効果のあったものを取り上げてみたいと思います。
3. 将来の夢
タイにもっとも効果があったのはこれでしょう。
最近は小学校のうちからキャリア教育をしてくださいます。
これはわたしが子供の時代にはなかった,すばらしい教育です。
「なぜ勉強するのか?」の問いに答えを与えてくれる教育と言えましょう。
タイは,中3のキャリア授業を受けた日に,
「お母さん,なりたいものが見つかった!
そのために,○○大学行かないといけない。
そのためには,○○高校に行かないといけない。
だから,今勉強する!」と言って,その日一日猛烈に勉強しました。
自ら勉強したのは,この日が初めてだったかもしれません。
将来の夢がモチベーションに与える影響を感じました。
勉強する習慣がついていなかったので,勉強時間に反映されたのはこの日限りでしたが,それでもタイの内なる何かが変わったのを感じた日でした。
将来の夢を見つける機会は,学校のキャリア教育だけではありません。
博物館に連れていく,演劇を鑑賞する,コンサートに行く,働く人の姿を見せる,博覧会に連れていく・・・。本物に触れさせましょう。社会を見せましょう。
本物のもつ力は偉大です。
4 .高校見学
同じ理由により,高校見学を受験生のモチベーションを上げるうえで効果的です。
本物に触れることにより,子供は自分の近い将来の姿を思い描きやすくなります。
タイも現在通っている高校の高校見学を行った日に,「あと半年,死ぬ気でがんばる」と言いました。
このたびも長続きはしませんでしたが,その日は自ら勉強しました。
5. よきライバル
タイが初めて志望校の名前を口にしたのは,友達の影響によるものでした。
中3の5月,ある友達が自分の志望校についてタイに話をしたそうです。
その友達はずっと塾に通っていて,中3の5月には志望校も固まって猛勉強をしていました。
のんびりしていたタイはその友達を通して,受験の何たるかを学び,
分からないなりにも志望校を決めたのでしょう。
それまで,極力努力せずに入学できる高校に行くつもりだったタイが,
自分の力よりも少し上の学校を目指すと言ったのでとても驚いたのを覚えています。
塾なしに受験生にとって,よきライバルの存在は特に大切です。
6. 習慣にする
合わせ技の中で,もっとも強力なのがこれです。
ただし,一朝一夕にはできません。
親の努力も必要です。
それは,「習慣づけ」です。
「習慣づけ」です。
「習慣づけ」です。
あ,すみません。
あまりに大切で,何度も書いてしまいました。
「どうすれば子供はやる気を出すのか?」その1とその2で,
せっかくやる気を出したとしても,
勉強する習慣が形成されるまでには時間が必要だった,と書きました。
そうなのです。
せっかく子供が何らかのきっかけでやる気を出しても,
勉強する習慣がない子がやる気と勉強習慣を維持するのは至難の業です。
いくらやる気満々でマラソンを走り始めても,
訓練を重ねて持久力や筋力や心肺機能を鍛えていなければ,
やる気だけでマラソンを走りぬくことはできないのです。
勉強する「体質」を作ることが肝心です。
ですから,望むらくは小さいうちから,10分でもよいので,
毎日勉強する習慣づけをしましょう。
歯磨きをするのと同じように,勉強は毎日するものだ,しなければ気持ちが悪い,という体質にしてしまうのです。
もちろん,子供が一人で勉強を習慣化することはできません。
(いえ,これもまた生まれながらにして,一度や二度教えたくらいで習慣化できてしまう子もいるのですが,普通はできません。)
親の助けが必要です。
毎日徹底させるものは大変なものです。
最初は嫌がるかもしれません。早くお友達と遊びに行きたいと暴れる子もいるでしょう。
でも,いったん徹底してしまえば,
これは生涯を通じて子供を支える宝の習慣になりますし,
小さな子供に習慣づけをすることは
思春期の子供を動かすよりははるかに簡単なのです。
子供がもう小学校の高学年になってしまった,という方。
大丈夫です。今から始めましょう。
少し反抗期が始まっているかもしれませんが,それでも思春期の子供よりは扱いやすいです。
いきなり長時間やってはいけません。
最初は親子で一緒にやってもいいと思います。
楽しみながらやりましょう。
簡単な教材をやるとよいでしょう。
ちょっとした漢字ワーク,簡単な計算ドリル,音読,
教材は何でもよいのです。
大切なことは,座って一定の時間勉強するという習慣をつけることです。
そして,できたらすかさずほめる!!
ほめちぎる!!
成功体験を重ねた子供は,きっと勉強を習慣化することができるでしょう。
中には,いつになっても親が声をかけなければ勉強しない子がいるかもしれません。
決して諦めないでがんばりましょう。
そして,合わせ技を忘れないでください。
子供が勉強している間,親は怠惰であってはなりません。
一緒に学びましょう。
子供と一緒に勉強するなんて,ほんの数年限定の貴重な経験です。
振り返ればきっといい思い出になるでしょう。
C。模擬試験
実は,これが最大のやる気スイッチかもしれません。
模擬試験はやる気の起爆剤です。
結果がよければ,もっと頑張ろうという気になりますし,よくなければ「ヤバイ」となって,うまくいけばやる気は出ます。あとはやるだけ(笑)。
我が家は塾なしだったので,ライバルや強制的な勉強のシステム(習慣化)がなかったため,模擬試験を毎月受けてペースメーカーにしていました。
人生初の入試の経験をする子供は,遠い先の受験を想像して備える,ということができません。できる子供はごくわずかだと思います。(大人でもできる人は少ないかもしれません。)
ですから,模試で入試のシミュレーションを頻繁にして,「次の模擬試験ではD判定をC判定に上げる!」といった短期目標を設定して,それに向かって勉強するのが,中学生では効果的なようです。