英語長文で時間が足りない,という悩みはよく聞きます。
実際,大学入試を見てみると,共通テストの一番の特徴は,単語数が多いということです。センター試験時代に4300語と言われいた単語数は,共通テストになって約6000語と飛躍的に増えました。約1.4倍です。
これに呼応するように,各都道府県の高校入試も単語数が飛躍的に増えています。
単語数が増えたということは,読む速度が遅くては太刀打ちできません。
高校生はもちろん,中学生のうちから,英文を「速く」「正確に」読む訓練が必要です。
速読力
大学入試の時点でどのくらい速く読めるようになる必要があるのでしょうか。
共通テストでは150wpm (words per minute。1分当たりに読む単語数)の速度で読む必要があります。共通テストにリスニングの読み上げの速度は140wpmと言われていますから,あのリスニングよりも速い速度で読み進めなければならないということです。
速読力をつけるための対策その1:音読・シャドーイング
では,長文を速く読めるようになるには,何をすればよいのでしょうか。
時間をかければ正確に読める,という場合には,音読とシャドーイングが最も効果的です。
一つの長文問題を精読し,意味がすべて分かったら,何度も繰り返し音読します。その際,wpmを測り,wpmが150を超えるまで音読を続けます。
wpmの算出方法:
語数÷かかった時間(秒)×60
(例)500単語の文章を読むのに3分半かかった場合
500÷210 秒×60=142 wmp
つまり,1分間に142単語読めるということです。
さて,音読である程度速く読めるようになったら,シャドーイングを追加すると,リスニング対策にもなります。
シャドーイングとは,英語の音声を流しながら,後から追いかけて読んでいくことです。最初は文字を読みながらでないとついていくのが難しいかもしれませんが,何回かそれを繰り返すと,今度は文字を見ないで,耳だけで音声について読んでいくことができるようになります。
シャドーイングは次にお話する,「前から理解する」うえでも非常に効果がありますので,おすすめです。
速読力をつけるための対策その2:スラッシュリーディング
長文を読むのが遅い,という場合,一文を読むために,前に行ったり来たりしながら読んでいる可能性があります。
日本語と英語は語順が異なります。
She met a friend whom she hasn’t seen for a long time.
こんな文章があったとして,
「彼女は,長い間会っていなかった友人と会った」と訳すには,英文を後ろから訳して行かなければなりません。
もちろん,「訳しなさい」と指示されれば,テストではそのように訳さなければなりませんが,黙読しているときにこのように読んでいくと,行ったり来たりしながら読むので,時間がかかります。
そこで,前からかたまりごとに切りながら,前に戻らずに前へ前へと読み進めることで速く読めるようになります。
先ほどの文章ならば,
She met a friend / whom she hasn’t seen / for a long time.
と意味のかたまりごとに分けて,
彼女はある友人に会いました/その人は,彼女が会っていなかった人でした/長い間
と前から訳します。
人は,たくさんのことを一度に覚えておけませんから,できるだけ5,6語以内で区切っていくと,さくさく読み進めることができます。
学校の英語の授業で扱う教科書本文や長文も,すべてこの方法で区切りながら読んでいくと,速く読めるようになります。ただし,区切ったパーツとパーツが互いにどういう関係にあるのかは常に意識しておく必要があります。
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超基礎編は中学生でも十分解けますし,中学のときからこの教材を使って前から読む練習をしておけば,大学入試でラクできるでしょう。
語彙(単語・熟語)力
さて,これまでは,時間さえかければ正確に英文を読める人向けに書いてきましたが,時間をかけても正確に読めない,という場合は,語彙力と文法に問題があります。
「長文が苦手」なんて言いますが,長文は1文の集まりですので,おそらく1文を正確に読めていない,ということになります。
さらに1文は複数の単語を文法のルールでつなげたものですから,単語と文法が分かっているのに読めない文章というのは,基本的にはないわけです。
例えば,先ほどの文章
She met a friend whom she hasn’t seen for a long time.
これなら簡単に中学生でも読めますが,
She came across a friend whom she hasn’t seen for years.
と別の言い回しになっているとき,”come across” ”for years”の意味が分からないために,正確な意味が分からず,選択肢の中から正解を選べない,ということになります。
単語は英語の基本中の基本。単語暗記が苦手,嫌い,といって後回しにしていて良いことなど一つもありません。
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文法
え?共通テストでは文法問題って出題されないのに?
と思われるかもしれませんが,あからさまな文法の知識を問う問題が出題されないとしても,英文がそもそも文法のルールでできているため,文法の知識と理解が不足していれば,正確に英文を読むことはできません。
例えば,先ほどの文章が
She came across a friend she hasn’t seen for a long time.
whomを省略しただけですが,急に読みにくくなったと思います。
whomという目的格の関係代名詞は省略できることや,この文章は2つの文で構成されていることが分からなければ,スムーズに読めず,引っ掛かってしまって理解に手間取ります。
このように,共通テストでは引き続き文法の知識を問われているのです。ただし,直接的に問われていないため,目立たないだけです。
This is a cute cat.
という文を,「この猫はかわいい」と訳しているような人は,しっかりと主語,動詞を捉えられるようになるために,文法への理解を深めることをおすすめします。
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左の参考書で理解し,右のトレーニングで演習を積むというスタイルです。