塾なしで子供の受験にどっぷり関わった経験から,塾を経営するようになりました。定期テストの成績で安定して9割以上得点できる生徒とそうでない生徒では,決定的な差があります。
それは,学校ワークの解き方にあります。詳しく書いてみたいと思います。
学校ワークで75点+その他の教材で25点
学校の定期テストの場合,学校で配られるワークからの出題が大半を占めます。まったく同じ問題でないにしても,ほぼ同じ問題も含めると,ワークを完璧に仕上げていれば,英語では75点は取れるはずです。(理社はもっと取れるかもしれません。)
ですから,定期テストで7割を切るという場合,学校ワークがおろそかにされている可能性をまず疑います。あるいは,塾のテキストはちゃんと解けているのに定期テストが取れないという場合も,ワークがおろそかになっている可能性があります。
学校ワークを「完璧に仕上げる」「おろそかにされる」とは具体的にどういうことか考えてみたいと思います。
答えを見るのは◎,答えを写すのは×な理由
まず,解きます。
簡単に「解く」と言いますが,ここでもいくつか押さえておくべき点があります。
いつ問題集を解くか
まず,学校ワークを解くタイミングですが,ケースバイケースでベストタイミングが異なります。
塾に通っていて,学校ワーク以外にも教材をこなす,という場合には,学校ワークは学校で習ってすぐに解いてはいけません。
「え?その日のうちに家で学校ワークじゃないの?」
と思われるかもしれませんが,その日のうちに学校ワークを解いてしまうと,まだ記憶に新しいため,その日は解けても1週間後は解けなくなっている,という事態が発生します。
塾などに通っていてすでに教材があるという場合,大事な文法などはそこで定着が図られているでしょうから,学校ワークの目的は,おもに単語の定着です。
これは単純暗記ですので,学校で習ってから3日後以降に解くことをおすすめします。(もちろん,定期テスト直前期はそんなことは言ってられないので,構わず仕上げます。)
このやり方であれば,定期テスト直前期に解いたときに,初めて解いた時の×以上に解けない問題というのが増えていないはずなので,×の印のついた問題だけ直前期に2回でも3回でも解きなおせば完璧になります。
定期テスト対策は学校ワークしかやらない,という場合の解くタイミングはこれとは異なります。
ほかに教材を使わない場合,学校で習ったことの定着は学校ワークで行わなければなりませんから,習った日のうちに習った範囲のワークを解いて,文法と単語の両方を定着させます。
また,直前期には,その際に解けなかった問題だけでなく,範囲に指定されているワークのすべてのページを再度解きなおしたうえで,そのときの×の問題を2回でも3回でもできるようになるまで繰り返します。ワークから同じような問題が出たら一つも間違えない,というところまで仕上げるのです。
このとき,英単語や社会や理科など,おもに暗記物にありがちなのですが,×ばっかりで嫌になって答えを写す,という生徒がいます。
あるいは,暗記物の答えを見つけるために,わざわざ教科書にもどって答えを探す,ということをする生徒もいます。
どちらも効果が薄い,とわたしは考えます。
暗記科目分野の場合は,まず答えを見てしまいます。答えを見るのはOKというか,むしろ答えを見て覚えてしまわなければ何も解けないわけですから,インプットをはかります。問題集は,教科書の中から,何がどのような形で問われるかを教えてくれます。つまりアウトプットの最高の訓練ツールなのです。ですから,一問一答形式で,質問を読み,答えをその都度読んでインプットをまず図ることはむしろ奨励すべきことです。
また,教科書に答えを探しに行くのは,時間の無駄です。答えを読んでも意味が分からないときに,背景情報を整理するために教科書を読むのはよいのですが,短答を探すために教科書を読んでも,その読んだ内容を覚えていられる生徒はほとんどいませんし,そんな殊勝な生徒なら,教科書を読む前から答えを知っているはずなのです。
このように答えを「見る」ことは奨励しますが,答えを写すことは無意味です。答えを写して,あたかもできたかのように他人だけでなく自分も欺くため,学校ワークが何の役にも立ちません。
定期テストで点数が取れてない場合,まず「答えを写していないか」「早く解きすぎていないか」「3回以上回しているか」を確認し,効果的な使い方とその意義を生徒が理解する必要があります。