公立高校入試が目前に迫ってきました。
最近,カウンセリング等でよくお問い合わせいただくのは,「入試まであと1カ月間,どんな勉強をしたらいいですか?」というご質問です。
受験直前の1か月間で効果のある勉強・ない勉強について考えてみたいと思います。
入試1か月前にしてはいけない勉強
まず,点数アップに効率の悪い入試直前の勉強について書いてみます。
入試直前という期間の特徴は,時間がない,ということです。つまり,学習の効果が出るまでに時間のかかる教科や分野を勉強するべきではありません。
どの教科がそれに該当するかというと,国数英です。英語や国語の長文読解や,数学の難問攻略に今から時間をかけるのは効果的とは言えません。約3年間の学習でなんともできなかったこれらの積み重ねの教科を1カ月でどうこうできるわけがないのです。
ただし,国数英の中にも,できることはあります。それについては後述します。
次に,集中的に勉強すべきでない教科は,のびしろの少ない教科です。
例えば英語が80点,社会が60点くらいしか取れていないなら,間違いなく伸びしろの大きな社会に力を入れるべきです。80点を90点にする努力よりも,60点を70点にする努力の方が短い時間で結果を生めるからです。
最後に,入試直前にやっていけない勉強の最たるものは,「特効薬」を使おうとすることです。この時期になると,本屋には「1カ月で中学3年分の勉強が分かる」といったような本が並びますが,そんな本などあるわけがありません。特効薬にすがりたくなる心理はよく分かりますが,今までやってきた勉強の質を上げ,得点アップに効果的な勉強を集中的に行うことが最善です。まやかしや甘い言葉に誘われないように気を付けなければいけません。
入試1か月前にするべき勉強方法
解き直し
入試直前期にするべきは,何と言ってもこれまでの解き直しです。
ですから,もちろん使うべきはこれまで使ってきた問題集です。
ついつい新しい問題集を買ったり,新しい問題に手を出したりするでしょうが,これまでに山のような問題を解いてきて,山のような「×(バツ)」がついてきたはずです。それを解き直すことが,何よりの直前期の受験対策となります。
学力が上がるのは,できなかったことができるようになるときです。
これまでに「×」がついた問題をかたっぱしから解きましょう。模試を受けたことがあるなら,模試の間違えた問題は最高の問題になります。
また間違えたのなら,もう一度×をつけて,一週間後にもう一度解き直しましょう。
効果の上がりやすい教科
「してはいけない勉強」の項で,国数英は効果が出にくい,と書きました。
5教科の中で,短期で学習の効果が最も上がりやすいのは社会です。積み重ねを必要としない教科であるため,前日までしっかり学習し続けて1点でも2点も上げることができます。
さらに,社会の中でも点数が上がりやすい順に,公民,地理,歴史となっています。公民は知識量も少なく,入試で問われる内容も非常に浅い内容なのが特徴なのですが,最後にそそくさと学ぶからか,公民まで手がまわらない受験生もいます。
公民は最も少ない努力で点数が取れる分野ですので,もし公民に不安があるなら,優先的に勉強するとよいでしょう。歴史は点数の取りにくい分野ですので,社会の中では優先度が落ちます。
理科も社会と同様,積み重ねの教科ではありませんが,理科の場合には,化学・物理の分野で若干の数学的な思考を必要とし,単純暗記で100点取れる教科ではないため,社会と比べると効果はやや下がります。ですが,国数英と比べると,圧倒的に結果の出やすい教科です。
国数英は積み重ねの教科ですので1カ月前に優先して勉強すべきではありませんが,点数アップという観点から,できることがいくつかあります。
例えば,数学の計算ミスが多い,という場合には,時間制限の中で計算する,という訓練を一か月続けることは効果があるでしょう。
また,国語の入試で漢字や文法についての知識が問われる,という場合には,そこを補うことも有効でしょう。
さらに,英単語とリスニングは最後の最後までやって損はありません。
最近の模試を見て,どこで失点しているのかを確認し,もっと効率よく点数アップできる訓練についてよく自分で吟味してから残り1か月間の学習方針を検討することが重要ではないかと思います。
がんばれ,受験生!!