私が運営している塾に通うディスレクシアの生徒さんについて,以前書いたことがあります。
参照☞英語だけできない!?~ディスレクシアの中1のその後~
中1で入塾したときに,英語がまったく読めない,ローマ字さえもまったく読めない,という状況で,問題文を読んで理解することさえできなかった生徒さんでした。
その生徒さん,その後定期テストで9割取れるようになり,現在中3なのですがとうとう模試や過去問でも9割を取れるようになったのですが。これはひとえにこの生徒さんの根気強さの賜物と,ご両親の手厚いサポートによるものです。
スペル対策
⤴上の参照記事でも詳しく書いた通り,フォニックスがきっかけとなって,英語が徐々に読めるようになりましたが,中3になり,高校入試対策を行ううえで,スペルを覚えることの困難が点数に如実に表れるようになりました。
定期テストに出る単語の暗記はできるようになったのですが,とにかく長期記憶にとどめるのが難しく,しかもごく簡単な単語を書けなくなります。
英作文で,ごく簡単な”please” や月の名前,曜日の名前なども「度忘れ」するのだそうで,その失点はもうある程度は覚悟しなければなりません。
が,できるだけ失点を抑えなければいけませんので,ともかく頻出単語を何度も何度も書くよう指示しました。単語暗記はだれにとっても楽しくない作業なはずです。でも,これができるようになることが点数に直結することを理解してから,この生徒は隙間時間にも単語暗記に取り組むようになり,ざるように繰り返しこぼれ落ちていく記憶と必死に戦っています。
圧倒的な文法力と音読
最近の高校入試を見て,昔とはずいぶん変わったと思われる地域もあるのではないかと思います。昔よりも長文の文字数が増えていますし,記述問題も増えています。また,リスニングの割合も高いのが特徴です。
たくさんの文字を読むこと自体に困難があるため,長文を丁寧に読むことができなかったのですが,文法力と語彙が上がってくると,より正確に読むことができるようになり,少しずつ長文をつぶさに読めるようになっていきました。
語彙力をつけるのと並行して,文法力を高めることで,長文読解に対応できるようになります。
また,文字への困難を補完する手段として,音読とディクテーションを毎日するよう指示し,これを続けたことが大きなジャンプアップへと結びつきました。
リスニングの配点が非常に高く,リスニングで満点を取れるようになってきたことが大きく影響していますが,そのほか,リスニングにより英語を前から順に理解していくことができるようになり,ただでさえ長い長文を,行きつ戻りつしながら読むムダがなくなってきた,ということも大きな収穫でした。
音読やシャドーイングは,どの予備校教師の先生もやるべきだとおっしゃっていてわたしも激しく同意しますが,簡単でありながら実践されることの少ないツールでもあります。
ディスレクシアの生徒さんに限らず,英語に行き詰っているすべての英語学習者に試してほしいと思います。英語を始めてからの期間が短ければ短ければ,短期間で効果が出ます。